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「ぴかぴかすりこぎ団の騎士」

The Knight of the Burning Pestle

 この作品の初演は1607年、ブラックフライヤーズ座で、王妃典礼少年劇団によって初演されたとみられる。この頃、台頭しつつあった「お金持ち」の市民階級(※1)を風刺した“市民喜劇”が流行しており、この作品もここに類する。

テムズ川向こうのグローブ座など青天井の大衆劇場とは違い、立派な屋内劇場であるブラック・フライヤーズの観客席には、教養のある上流階級とお金「だけ」はある市民階級が混在していた。

 この劇は、市民の夫婦が開演直前に“市民喜劇”の上演を妨害し、観客席から舞台を乗っとるところから始まる。これは17世紀初頭においては前代未聞の劇構造であった。

ただその中身は当時人気の『ロンドンの4人の徒弟』をはじめ、20歳先輩であるシェイクスピアの芝居のパロディ、当時の流行歌など盛りだくさんで、芝居好きには琴線に触れるポイントの多い、初期のバーレスクである。


(※1)

私設劇場であるブラックフライヤーズ座はチケット代が高く、観客は、教養のある上流階級がほとんどであった。エリザベス1世が崩御し、ジェームズ1世の治世に移ると、「お金持ち」(経済的成功者)の市民階級の台頭により、上流階級との社会的格差が曖昧になっていき、お金さえ払えば同等に入れる劇場の観客席には上流階級と市民階級が混在するようになった。

劇作家フランシス・ボーモント(1584〜1616)
Francis Beaumont

イギリスの劇作家。

17世紀初頭は20歳年上にはシェイクスピアがいる劇作家が群雄割拠する時代である。ベン・ジョンソンの影響を受けつつ、ジョン・フレッチャー(1579〜1625)と共に5年間に渡って寝食を共にしながら約10編の悲喜劇を書いた。上流階級の観客層の趣味を巧みに作品へ反映させ、ロマンチックな悲喜劇『フィラスター』(1610年頃)や『乙女の悲劇』(1611年頃)などの傑作を残した。彼らの死後、さらに増補して52編を集めた作品集が出された。

『ぴかぴかすりこぎ団の騎士』は、彼の数少ない単独作品の一つである。

人物相関図

『ぴかぴかすりこぎ団の騎士』は劇場が物語のキーワードになっています。
ところが上演中の芝居は『ロンドンの商人』…?!
物語を読み解くために、2つの芝居の登場人物の関係をご紹介します。